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2008年12月 5日 (金)

☆小説 警視庁薬物特命捜査官(31)

 新潟県警にかけられた期待

080713_164028_m 会議を終えた重森は、鬼頭警部と風間理事官を誘い18階の瀬上生安局長室を訪れることにした。16階の会議室からエレベーターで18階に向かった。 
 局長室の入り口を入ると会議用のテーブルがあり、局長の机は入り口から7、8㍍先の窓側にあった。広い部屋である。重森らの姿を見た瀬上は「やぁ」と言って右手を挙げた。

 瀬上は机の前にあるにソファを手で示しながら「どうぞ、こちらへ」と3人を迎えた。

 「局長、宜しくお願いします」
 鬼頭と風間は座りながら頭を下げた。瀬上が鬼頭の顔を見ながら言った。
 「鬼頭さん、かねがね噂は聞いていますよ。定年が近いようですね。風間君、もったいないよなぁ。日本警察の財産だぜ」
 瀬上は警視庁の経験はないが「常に日本警察は警視庁がリードしている」と信じているうちの一人だ。
 瀬上局長卓上の電話が鳴った。ソファから立ち上がり受話器をとった。
 「今、打ち合わせ中なのでこちらから連絡します」

 電話を終えた瀬上は、座りながら言った。
 「すまない。次長の言う通り、国税はなんでもかんでも持っていくから困るんだよね。うちとしては銀行の金の流れを見たいんでしょう。国税が引かない場合は、警察として押さえたいリストをもらえませんか?どこまでやれるか分かりませんが…鬼頭さんのためにも努力しますよ」
 続けて重森が口を開いた。
 「きょうは田中局長が大変失礼なことを申し上げてすみません。あの方は悪意がないので気にしないで下さい」

 4人の話題は事件とは全く別の警視庁の人事の内容だった。
 重森、鬼頭らが引き揚げたあと瀬上局長のもとを毎朝新聞の警察庁担当、上沼記者が訪れた。先ほどの電話の主だった。開口一番上沼がこう切り出した。
 「大阪府警で通信傍受を実施したそうですね」
 いきなりの切り出しに瀬上局長が驚いた。しかし、ここで顔色を変えると全てがバレてしまう。かと言って嘘は付けない。困った顔をすると心を読まれてしまう。ましてや上沼記者は敏腕として名高い。
 「実施しました。国会報告が求められている事案なので正直に申し上げます。しかしね上沼さんよ。頼みがある。通信傍受と言うのは実施しても収穫がなければ実施しないのと同じなんです。例の工作船で押収して携帯の記録からやりました。既に海保のニュースでご承知でしょう?。ですから、ここのところは押さえてもらえませんか」
 「押さえるのはいいのですが、大阪府警の担当者が掴んだものですから…。他社はどうですか?」
「まったく当たりはありません。タイミングを見て配慮させて頂きます。今回の一連の事件では毎朝さんがリードしていることは重々分かっております。正直言いまして海保の二の足を踏みたくないのです。今が大事な時期にきているのです」
 瀬上はさらに続けた。
 「それに、たったの二回だけ聞きました。うち一回は雑音が多くて良く分からなかったのです。もう一度令状を請求する予定です」
 「分かりました。しかし私の一存では決めかねられないので…。後で返事することではいけませんか?」
 上沼のこの人柄が警察庁内でも好感を呼んでいる。瀬上は前任者の鈴木記者とは信頼関係を築いていた。その鈴木は、社会部のデスクに昇格している。鈴木にお願いする手もあるがこの際は上沼に期待することにした。「何か謝礼を」と考えた瀬上は言った。
 「風営法の改正をしたいと考えているのですが、興味ありませんか?」
 「どんなことですか?」
 

 上沼は非常に乗り気だった。
 「出会い系サイトが大変問題になっているのをご存知ですか?。あれを規制しようと思ってるんです。とにかく女の子の書き込みが凄くて…」
 「面白いですね。どんな規制を?」
 「出会い系サイトはご存知ですよね。男を勧誘するため、如何にセクシーに書くか。例えば『あたし今晩、うずいているの>電話ちょうだい>』とか『私、十六歳、お小遣いくれる男性はいないかな。2万円で即OKよ』など過激な書き込みが多いんです。そこで、こうした書き込みを規制するためには、未成年者であろうと女の子であろうとビシビシ逮捕するという法律です」
 上沼記者は益々、興味を持ったらしく是非、書かせてくださいと言う。
 「それならば生安企画課長の霧島のところに行って下さい。電話をしておきます」
 こうして上沼は引き揚げて行ったが返事が気になる瀬上であった。
 返事には時間がかからなかった。快く了解してくれた。瀬上は感謝の意を込めて「風営法の件は宜しくね」と力を込めた。

      ×      ×       ×       ×
 新潟県警の四階会議室に42の捜査員が集められた。その中には警視庁の鬼頭特命捜査官の姿があった。
 会議室には、5人掛けの細長いテーブルが2列ずつ10机が並べられていた。各班ごとに警察無線機が置かれ、無線機の下には捜索場所と担当者の名前が書かれたA4の紙が入った県警の封筒があった。
 さらに会議に入ってからは、それぞれの班長に捜索令状とカメラが渡された。カメラは捜索令状を示す際の写真を撮影するほか差し押さえ物件の写真などを撮影するものだ。
 金田こと羹が、悟さんに成りすました事件の公正証書原本不実記載と公務執行妨害、30㌔の速度超過違反容疑による佐渡通信など関係箇所に対する家宅捜索のためだった。
 正面の黒板には、
 6月27日 金曜日(大安)
の日付の横に各班に割り当てられた乗用車や押収物を搬送する車両番号が書かれていた。指揮官は阿部生安部長が担当することになった。つづく

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