☆【事件の核心】じわり「顔見知りの線」浮上 東金女児遺棄事件の急展開は?(13日)記事が長いのでURLをクリックして下さい
千葉県東金市の資材置き場に保育園児、成田幸満(ゆきまろ)ちゃん(5)の全裸遺体が捨てられていた事件は、発生から3週間を迎えた。現場の状況や犯行形態などから、県警東金署捜査本部は、現場周辺のごく限られた地域に犯人がとどまっている可能性があるとの見方を強めて
いる。顔見知りの線も出てくるわけだが、現段階では、犯人につながる手がかりは当日の雨でかき消され、少ない物証に絞り込みは難航している。冷たい雨が降りしきる中、わずか5歳の幸満ちゃんを丸裸にして、側溝の上に置き去りにするというむごい仕打ちをしたのは、顔見知りだったというのか。捜査本部はその影を全力で追っている。
■暴行の形跡なし 薄まる変質者犯行説
幸満ちゃんの遺体は9月21日午後0時25分ごろに見つかった。住宅街の真ん中で、四方八方が見渡せる空き地のような資材置き場脇に置かれていたが、日曜日の昼食時の上、雨がぱらつき始めたこともあって、人通りはまばら。犯行を目撃した住民はいなかった。変質者の犯行か-? 幼い女児を丸裸にして道路に捨てるという異常な状況に、こう連想する向きは少なくなかった。現に現場周辺では、女児が自転車に乗った男に追いかけられたりするような不審者情報が多発しており、幼い子供を持つ家庭の不安はピークに達した。ところが、状況が徐々に判明し始めると、犯人像は一変していく。 現場は近くに公園があるものの、幹線道路から一本はずれた入り組んだ住宅街。「地元の人しか通らない場所」(住民)だった。加えて、遺体は全裸だったが、暴行の跡や外傷などは認められなかったのだ。唯一、腕に強くつかまれたようなあざがあるだけだった。 「後ろから腕をつかまれて押さえつけられ、布や枕などで口をふさがれて窒息死した可能性が高い。わいせつ目的なら上の服まで脱がせる必要はなく、暴行の跡もないので、変質者の可能性は低い」 捜査にあたる県警幹部はこう分析する。 「突然のトラブル」や「顔見知りによる犯行」の可能性が浮上し始めた。
■短時間での犯行 逃走せずに地域内に入り込んだ?
幸満ちゃんは、母親の多恵子さん(38)と2人暮らしだった。多恵子さんは看護師として、父親の経営する現場近くの病院「東金中央クリニック」で働いていた。
多恵子さんは夜勤もこなすなど、精力的に働いており、幸満ちゃんは病院で祖父母と一緒に過ごすことが多かったようだ。事件当日も、病院だった。最後に幸満ちゃんが目撃されたのは、午前11時ごろ。複数の職員が、病院にいるところを目撃したという。職員のほか、当時は約50人の患者もいたが、それ以降は、幸満ちゃんが遊んでいる姿や、外出するような様子はとらえられていない。一方で、遺体が置かれた約15分前には、現場に異常はなかったことも確認されている。つまり、午前11時から約1時間10分という短時間で幸満ちゃんが殺害され、丸裸にされて現場に捨てられた-と捜査本部はみている。また、現場から100メートル離れた駐車場からは、ビニールの袋に小分けにされた幸満ちゃんの濡れた衣類が見つかった。いずれの袋も付近のショッピングセンターなどのものと判明した。幸満ちゃんの近くに、衣類を袋に詰めて放置していった犯人の“神経”はどのようなものなのだろうか。県警幹部が言う。「近くの駅やショッピングセンターのゴミ箱に捨てれば(身元の確認など)発覚を遅らせることができただろうに、遺留品は無造作に捨てられていた。時間に余裕がなかったかもしれないが、いずれにしても、ごく限られた地域に犯人がいる可能性がある」 犯行時間や犯行エリアが徐々に狭まっていき、捜査は一気に進展するとみられたのだが…。
■目撃情報に翻弄された警察
しかし、捜査は豊富な目撃情報に振り回された。 《公園にハッチを開けたRV車が止まっていた》 《現場近くで女児の悲鳴を聞いた》 悲鳴は、すぐに事件発覚後の別の声などと勘違いしたと判明。不審なRV車の目撃情報は確認できなかったが、県警幹部は「車を使ったなら、犯人はもっと分からないような遠くまで運んだはず。遺留品も近くに捨てられていたし、犯行には車が使われなかっただろう」とみる。不確定な情報が錯綜(さくそう)する中、捜査を根底から揺るがしかねない目撃情報も飛び出した。 「(幸満ちゃんが)ピンクの水筒を肩にかけ、振り回しながら走っていた。正午くらいだった」
近くの女性の目撃情報だ。
この女性の情報が確かならば、幸満ちゃんはわずか25分の間に、現場の近くで殺害され、すぐに捨てられたことになる。「これまで幸満ちゃんが病院近くで1人でいたウラは取れていたが、この情報が本当であれば病院から幸満ちゃんが1人で離れて行動していたことになる。不審者も含め、犯人像は無数に広がることになる」(捜査幹部) 捜査方針の見直しを余儀なくされることになるとみられたが、捜査本部が院内を詳しく調べた結果、幸満ちゃんの水筒は持ち出されることなく残されており、女性の目撃情報は時期が違うなど間違いだったと判明する。 目撃情報の精査や現場の状況分析などから、捜査本部は徐々に顔見知りによる犯行の見方を強めているという。
■犯人逮捕を切望する地元 捜査の急展開はあるか
幸満ちゃんはやや人見知りだったというが、性格は明るく、病院でちょっとした手伝いもするなど、しっかりとしていたという。目前に控えていた運動会の練習にも熱心に取り組んでいた。その矢先の事件だった。「罪のないけなげな子供に…。想像するだけで身体が震えます。何とも言えないし、悔しいです」 幸満ちゃんの通う保育園の園長は絶句。5年という短い人生を早足で駆け抜けた幸満ちゃんの知人らは、悲しみにくれた。 事件後、幸満ちゃんが置き去りにされた資材現場の脇には、花やお菓子、ジュース、人形などを手向ける人が後を絶たない。 その中に1枚のボードが置かれている。 ボードには、幸満ちゃんが読めるようにと、平仮名で書かれたメッセージがある。《げんきで おてんばさんな ゆきちゃん みんな みんな ゆきちゃんのことが だいすきだからね いつまでも ずうっと だいすきだからね そして》 メッセージは、さらに続く。そこには、ひと際目立つ赤字で、こうつづられている。
《頑張れ 千葉県警!! 早く この子の無念を晴らして! 早く この子のカタキをとって!》 殺人事件捜査は発生1カ月がひとつの節目と言われる。1カ月で解決できなかった場合、人々の記憶の薄れや情報提供の減少から長期化するケースが少なくないからだ。 事件はあと1週間ほどで正念場の1カ月を迎える。住民が発したメッセージを千葉県警は犯人逮捕という形で報いることはできるのか。時間はあまりない。
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