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2008年10月17日 (金)

★小説 警視庁薬物特命捜査官(24)

  ビデオ写真の解明を急げ
080713_164028_m  木島さんの足が不自由だったことから車で新潟県警に案内することになった。捜査本部からは警視庁の林管理官が同行した。木島さんは車内で、北上雅也と悟さんが同じ部屋に寝泊まりしていた当時の山谷の様子を話し出した。林管理官は、懐かしい時代の話しに自身の警察官生活をだぶらせて振り返り何度も何度も質問した。
 昔し話しをしたのも、面通しの前に木島さんに当時の多くの記憶を蘇えらせるための林管理官の作戦だった。
 関越自動車道路の新潟中央インターでは県警高速隊のパトカーが待機しており、新潟中署まで誘導したくれた。
 同署にはマジックミラー付きの調べ室はなかった。このため刑事課は金田悟と名乗る男を何度も木島さんの前を通行させることで確認させた。
 調べ室で録音された羹の雑談も聞かされた。木島さんがようやく思い出したようだ。
 木島さんは長旅で疲れていた様子なので県警で食事をしながらの事情聴取となった。刑事部長応接室に案内され、警視庁の林管理官と県警捜査一課の大島係長が立ち合うことになった。
 「いかがでしたか、思い出したことがありますか?」
 林管理官が切り出した。来る途中の乗用車内での会話の延長線上を演出した。
 「あの男の人ですね。あれはね、確か…労働センターが焼き討ちされた事件の後だったと記憶しているんです。週刊誌の写真の男と良く二人で飲み歩いていましたよ」
 「ということは、今、見た男と悟さんとは別人なんですね。そしてロックの雅こと北上雅也とも別人で、北上と先ほど見た男は仲が良かったことになる」
 大島係長の声がうわずった。DNA鑑定以外の生の証言だった。そして木島さんは続けた。
 「悟さんはさ、ほら稼がないと食べれない訳でしょう。日雇い労働者だからね。ところがあんた…」
 木島さんは饒舌になってきた。
 「なんだっけ週刊誌の男は、はなからヤクザっぽくてさ、よーく悟さんにたばこをやっていましたよ」
 「さっきの男は背広を着ているから、私たちは役人みたいでおかしいし変だなぁって見ていました。一カ月ぐらいの間に何回か来ていましたが、そのうち三人で出て行ったきり帰りませんでした」
 「宿賃の精算はその日その日なので、うちは何の損もしていないのですが、何か月か後に週刊誌の男が来て『誰か悟を訪ねて来なかったか?』て聞かれたんです。三人で出て行ったのになぁ。だからおかしなことを聞くんだなと思っていました」
 こうして、「ロックの雅」は羹兄とは別人だったことが証明された。
 報告を受けた警視庁の笹川刑事部長は、警察庁の宗像警備局長を訪ねた。金田正夫さん殺害事件の途中経過報告と北上の身柄についての打ち合わせだった。局長室には警備局担当審議官、小嶋外事課長、国際部長も呼ばれていた。笹川が苦渋にみちた顔で説明を始めた。
 「いゃぁ参りました。報道が先行した形になってしまいました」
 「それにしても警視庁も大変ですね」
 今回の場合は、発表事案とは別問題であり誰にも責任を求めることはないが、警視庁という立場上、情報を持っていながら警察庁に報告する前に報道されたことについて笹川は謝罪したつもりだった。察していた国際部長が切り出した。
 「ご承知だと思いますが、北朝鮮は残念ながらICPO(国際刑事警察機構)に加盟しておりません。中国と韓国が加盟しているので、北朝鮮を出国した場合に備えた手配は必要と思われます」
 「北上の逮捕状がない場合はどうすればよいか?それによってどこまで詰められるのかなんだよ」
 宗像局長のこの言葉に、国際部長は
 「手配には赤手配から紫手配までありますが、赤手配は引き渡しを前提に身柄の拘束を求めるものですから令状が無い以上はできません。したがって国際情報照会手配書、つまり青手配書を発行して、北上の所在発見や正確な人定事項や犯罪経歴などに関する情報を求めるほうがよいのではないでしょうか」
 そして小嶋外事課長が続けた。
 「一度手配すれば手配書は加盟国に回りますので行動確認はできるわけです。さらに詰めておくとすれば外交ルートで在北京大使館から中国にお願いして外交ルートによる平壌への働きかけが良いのではないでしょうか」
 「警視庁としては北上の令状をとるまでは行くのかね。行けるんだったら、警察庁としては北京に派遣することも可能だよ。既に中国公安当局とは来日外国人犯罪対応として連絡体制が確立しているからね」
 と宗像局長が笹川の顔を見ながら聞いた。
 

 笹川刑事部長は金田正夫殺害事件について捜査の途中経過を報告した。
 「金田正夫さんは青森県から上京して台東区西浅草のホテルに投宿。兄の悟さんを捜し回っていたんです。そして十二日目の夜に五戸の実家に電話しているんです」
 笹川はたばこに火を付けてさらに続けた。警察庁内は部長や課長の個室での喫煙は部屋の責任者に裁量が一任されている。宗像はヘビースモーカーだった。
 「正夫さんは電話で『明日、山谷に住んでいた当時の知り合いだった男に会うことができる』と喜んでいたというんです」
 「その間の行動で手がかりはないのかね」
 と小嶋が聞いた。これに対して笹川は
 「金田正夫さんは滞在期間の十二日間に三回、近くの銀行から日常の小遣いと思われる現金を引き出していました。その三回のうち一回だけ銀行の防犯カメラに金田さんと連れの男が写っていた」
 この話しに宗像が膝を乗り出した。笹川は
 「あまり鮮明ではないのですが現在、その写真を元に聞き込み捜査をしている最中なんです」
 「ほう、それで良い情報はないのですか?肝心の北上の足取りについては?」
 笹川刑事部長が警察庁にわざわざ出向いてくるからには、北上の情報ではないかと期待していた審議官が聞いた。これに笹川が答えた。
 「出入国記録を見ますと成田を出たのが三月二十五日。現住所の仙台市を出たのが二十一日で五日間の足取りを追跡している最中です」
 笹川はさらに続けた。
 「これは私の私見も含まれますが…、金田正夫さん事件に関与しているのではないかと思えてならないのです」
 「北上がロックの雅であり、当時の金田悟さん行方不明事件に係わっている。そしてその兄を捜しに来た正夫さんは当然、ロックの雅、つまり北上を捜し出して詰問した。筋が読めてきましたね」
 小嶋外事課長が笹川の顔を見ながらこう付け加えたの対して、笹川はさらに続けた。
 「おっしゃる通りなのですが、北上は仙台市の人間なんです。それがなんで正夫さんと今回会えたのか…。背後になにかあるのでは?などと考えると、もっと詰める必要がありますので、宮城県警とも協力しながら鋭意、努力しております」
 「銀行の防犯カメラの映像と北上の写真の比較はできないのですか?」
 宗像が質問した。笹川が答えた。以下は二人の会話だ。
 「防犯カメラの映像の角度と同じような角度の北上の写真が無いものですから…」
 「逮捕歴があるでしょう北上には…」
 「はい。現在、捜査四課を動員して関東連合当時のビデオの入手に全力を上げており、入手できれば科警研のお世話になるつもりでおります」
 「そうですね。角度が一致すれば骨格からもある程度は、出るしね」
 笹川刑事部長が金田さん殺害事件を含め北上の打ち合わせに警察庁を訪れているころ、警視庁新橋分室は、ひっくり返るような騒ぎになっていた。つづく

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