★小説 警視庁・薬物特命捜査官(21) (9月25日)
通信傍受の内容は
大阪府警の生活安全総務課長と警備部理事官が警察庁を訪れた。広域指定暴力団・篠原組の後藤田作之助の通信傍受結果報告のためだった。
重森薬対課長は、警視庁から風間理事官と特命捜査官の鬼頭を呼んだ。警察庁十六階西側の特別会議室に刑事、生安、警備の各局幹部が集まった。
「それでは只今から後藤田の通信内容について捜査結果を報告させて頂きますが、始めに録音を聞いて頂きます」
府警の生総課長が自らテープレコーダーのスイッチを押した。テープは回り出したが暫くの間、音声は無かった。
「声が出ないところがありますが、これは削除を求められて消した部分です」
と音声がない部分について生総課長が説明した直後、鮮明な声が流れ出した。
「それでキンはアナやんには何にゆうた?」
ドスのきいたダミ声声だった。
比較的若い声がこれに答えた。
「あのバカ野郎がぁ 俺に一千万出せっ言うんたんですよ。だったらお前は、約束したブツが手に入らないでは済まされんぞ。責任をどう取るんや」
答えるようにダミ声の男の声。
「だったら出るところに出るうって言うから、どうしようもなかった」
そして物騒な言葉が出た。
「で、やっちまった?…大丈夫でっか」
とダミ声の男。それが後藤田だろうと鬼頭は思った。その後も二人の会話が続いた。
「奴は骨董(古物)屋だから…もともと俺たちとの接点はおまへん。サツ(警察)には バレないと思うよ。ただ奴はヤク射っていたようなんだよ。どうも俺たちから出たブツを掠(か す)めていたような気がするだなぁ」
「二割ぐらいは横流ししてるんとちゃいますか?」
背景音に「兄貴っ、兄貴っ」と繰り返して呼ぶ声が聞こえた。そして会話はさらに続いた。若い男の声だ。
「金はもろうたからええけど…どこぞやに流していたんとちやうか?…。ところで会長はん、今度はいつ頃入るんでっか?。それにやっちまったキンに代わる者おるんかね…」
「もう北はだめだ。特に船はな。重油か何か液体に溶かして入れるっていう手もあるとかなんとか言ってたな。単価が高くてしょうがないんだそうだ」
「ほな、見直しを含めて集まりましょか、総会名目で…」
「そうだな、ところで…車の調子はどうなんだよ。ニューベンツは…」と言いかけてその後が削除されていた。
電話の録音はここで止まっていた


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