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2008年8月 2日 (土)

★人情味あふれる警官秘話 都民の警察官 (2日)

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 警視庁担当記者の1日は「朝駆け」から始まります。出勤する捜査員を家の近くで待ち構え、取材します。しかし、犯人逮捕を目的とする捜査の性質から保秘が徹底され、警察官は口が堅いです。「あっちに行ってくれ」と追い払われることも。捜査をテーマにした小説が書店に多く並んでいますが、警視庁幹部は「実態と違う本も結構ある」と話します。そんなベールに包まれた警察官の地道な活動に光をあて、表彰するのが「都民の警察官」(産経新聞社など主催)です。今年、担当記者の1人となり、ここぞとばかりに取材しました。「自分が逮捕したホシと街中で偶然会ってね」。立派に更生して定職についていた男性と、名刺交換した話をうれしそうに語る盗犯捜査のベテラン。逮捕した大学生の母親から手紙を受け取り、子を思う気持ちがつづられた文章に涙を流す刑事もいました。がっちりした風貌(ふうぼう)から「西郷さん」と親しまれる駐在さんは、風呂場で足を骨折して動けなくなった独居老人を助け出しました。受章者の素顔やお手柄、裏話を紹介する記事をウェブサイト「イザ!」の「ウェブ首都圏」に掲載しています。小説ほど派手ではありませんが、人情味ある警察官たちが安全を守ってくれていることが分かります。(Q)

http://tonai.iza.ne.jp/blog/folder/88242/

小松川警察署刑事組対課強行犯捜査係長 
山内和夫警部補(57)

夜に盗みに入る「のびし」、住人がいる間に侵入する「居空き」。忍び込む家の近所で必ず弁当を食べる変わり種もいた。盗人について回る癖。現場鑑識と手口分析を徹底し、犯人を絞り込んできた。昭和59年ごろ、勤務していた玉川署管内でアパートを狙う窃盗事件が相次いだ。指紋から浮上したのは、かつて窃盗容疑で自分が逮捕した男。男はある島の出身で、母親に女手一つで育てられた。母親を悲しませたくないという思いから、「もうしません」と約束したはずだった。備忘録をめくると、「渋谷や池袋が好き」「中級以上のホテルに泊まる」と書かれていた。さっそくめぼしいホテルに手配書を配って歩いたところ、3日後、宿泊先になっていた池袋のホテルが割り出された。駆けつけたホテルのロビーで男と鉢合わせに。「あっ!」。互いに叫び声を上げ、指をさし合った。男はもう逃げようとはしなかった。約660件の侵入盗を繰り返していたが、最後のほうでは手袋を脱ぎ、現場にわざと指紋を残していた。「泥棒に疲れた」。男は再び更生を誓ったが、その後も盗みを働いて逮捕されている。「本当に、残念ですね」。過去に逮捕したホシと、街中で再会することは少なくない。「刑事さん、年をとったね」。定職につき、名刺を差し出してくることもある。「がんばれよ」。そう励ます瞬間がたまらなくうれしい。もらった名刺は宝物だ。
八王子署刑事組対課銃器薬物対策係長
安斎信行警部補(58)

 「粘りと根性。昔の刑事ドラマを地でいく捜査だったよ」。平成17年6月の捜査開始から4カ月かけて横浜市内のマンションにある麻薬密売組織の拠点にたどり着いた。
2人1組の班に分かれ、24時間態勢で尾行や張り込みを繰り返す毎日。カムフラージュのためにジーパンとTシャツに身を包み、健康ドリンクを飲んで睡魔と戦った。売人が麻薬を売っている現場を目撃したことは数知れない。はやる気持ちを「根絶やしにしないと同じことが繰り返されるだけ」と抑えて我慢の内偵捜査を続け、拠点の家宅捜索にこぎ着けた。押収したのは、合計1㌔以上にもなる大麻や覚醒(かくせい)剤。グラム数ごとに透明のポリ袋に取り分けられ、小型の冷蔵庫の中に保管された〝ブツの山〟を前に、仲間とともに無言で拳を握りしめた。それでも「薬物の負の連鎖に終わりがない」。昨年11月、初老の夫婦が八王子署に相談に訪れた。自分が約2年前、覚醒剤を使用したとして逮捕した男を息子に持つ夫婦だった。服役期間を終えて自宅に戻って1カ月もたたないうちに、自分の部屋の壁を殴って穴だらけにしたり、自分たちを威嚇したりした。逮捕前と同じ状態。両親は「深夜、息子が枕もとをうろつくのが怖くて眠れない」と憔悴(しょうすい)していた。男は再び、覚醒剤使用で逮捕された。「覚醒剤は周囲の人間も不幸にする」。薬物根絶への誓いを新たにした。

石神井署地域課東大泉駐在所
松田光雄警部補(57)

 「ばあちゃん、調子はどうだぁ」。家の門をくぐって雨戸をガラガラと開け、しゃがれ声を響かせる。「あら、元気よー」。ギプスに固定された左足をゆっくりと動かし、女性(78)が顔を出した。「松田さんはね、命の恩人なんですよ」とにっこり笑った。2月、女性の親類の男性から「チャイムを鳴らしても返事がない」と110番通報があった。女性は一人暮らし。集めた日本人形に名前を付け子供のようにかわいがっていた顔が頭に浮かび、すぐさま駆けつけた。回り続ける電力メーターと、かすかに聞こえる物音。庭に落ちていた石で勝手口のガラス戸を破って家に入り、風呂場で倒れている女性を見つけた。女性は転んで足を骨折し、20時間ほど身動きができない状態だった。「松田さんが来なかったら、今ここにいるかわからない」約23年前に駐在所に赴任したときは前任者と比較され、よそ者扱いを受けた。しかし「努力している姿を街の人に見せるしかない」。管内に住む独居老人は100人以上だが、丁寧に家を回って一人ひとりの状況を把握。近くにある北野神社の例大祭では交通整理を買ってでて、朝9時から夕方5時まで立ち続けた。がっしりとした体格と、柔道で厚く腫れた両耳という風貌から「東大泉の西郷さん」と呼ばれて親しまれるまで、時間はかからなかった。「いつまでも『街の駐在さん』でありたい」。豪快な笑い声がきょうも大泉の街に響く。

池袋署生活安全課保安1係長
岡沢隆一警部補(51)

 今春、キャバクラに女性を勧誘した都内の私立大生の男を都迷惑防止条例違反の現行犯で逮捕して約2週間経過したとき、男の母親から自分と男あてに手紙が届いた。男が幼いころから足が速くて箱根駅伝出場を目標にしていたこと、母親は部活の練習に向かう高校生の息子のために毎朝早く起きて食事を用意したことなどがつづられていた。
男は大学入学後に足をけがして夢をあきらめ、池袋の繁華街で黒服を着て女性を風俗店などに勧誘する「カラス族」になった。「両親は愛情いっぱいにお前を育てたらしいな」。取調室でかたくなな態度を貫く男にこう声をかけたとき、男は表情を崩して、ボロボロと泣きじゃくった。「両親の思いを知り、懸命に走ることに打ち込んでいた昔を思いだしたのではないか」と振り返る。泣き終わった後の表情は素直な青年の顔になっていた。「愛情を受け止めることができる子。時間がかかっても立ち直る」と今後を温かく見守る。「再び罪を犯すな」とはあえて言わない。自ら考え、決心しないと意味がないからだ。容疑者と取調室で接するとき、自然体を心がける。怒鳴りつけたり、自分が乱れたりすると話を引き出せない。「相手は自分の鏡」と思っている。「岡沢さんだから話したよ」。取り調べた相手から言われるこの一言がうれしい。どんな人間と巡り合えるのかを楽しみにしながら、これからも走り続ける。

東京空港署警備課警備1係長
真家三都雄警部補(58) 

警備24年のベテラン警察官の原点は成田闘争にある。昭和53年、反対闘争の拠点だった横堀要塞(ようさい)を制圧するため、第3機動隊員として送り込まれた。何年も撤去できなかった要塞の鉄塔をクレーンで引き倒した瞬間、機動隊員の歓声が地鳴りのように響いた。「『部隊前!』の掛け声とともに全員が団結してようやく倒せた。警備という仕事の一体感と達成感に引き込まれた」平成14年に東京空港署に配属され、もう一つの空の玄関、羽田空港の治安を守ることに。何万という人々が行き来する重要な警備対象だが、4年前、薬物中毒者の運転する車が空港のさびたフェンスを突き破り、東京湾に落ちて死亡する事件が発生した。「古いフェンスや無駄なゲートを放置すれば、また同じようなことが起こる」。「警察が施設に関して口出しするな」と渋る管理者の国土交通省幹部のもとに通い、粘り強く説得して改善や廃止を実現。「上司に『歴代の署長ができなかったことをやってくれた』といわれたときは本当にうれしかった」警備、それは「何か起きてからするものではなく、何も起こらないために準備して作り上げるもの」。静かな言葉の中にプライドを忍ばせる。現在、空港では2年後の新国際線ターミナル新設の工事が進む。勇退後に完成予定だが、「新しい交番や防犯カメラ、フェンス設置の要望を全部出して、後任に引き継ぐ」。眼下に広がる空港を見つめてつぶやいた。

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