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2008年7月28日 (月)

★長い原稿です。読むには時間が必要 土・日曜日に書く】長戸雅子 「死刑」執行する側の苦悩 産経新聞記者 (28日)

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≪20年の歳月≫
 じめっとした畳の感触は今でも覚えている。真夏の午後だというのに薄暗い部屋だった。目に入ったのはおびただしい数のビデオと雑誌類。薄気味悪くなって早々に退散した。
 1989年7月、世間を震撼(しんかん)させた連続幼女誘拐殺害事件の宮崎勤元死刑囚が逮捕された。東京都五日市町(現あきる野市)の宮崎元死刑囚の家に駆けつけ、家族の了解のもと、他社の記者とともに彼の部屋を見せてもらった。彼の家族の一人は縁側に呆然(ぼうぜん)として座っていた。「家ではどんな子だったんですか」とのわれわれの質問に首をかしげ、「家のことを手伝ってくれる、いい子だとばかり思ってました。なぜこんなことになったのか、さっぱり…」。
 その後、裁判担当として宮崎元死刑囚の公判を取材したが、常に人ごとのような表情と存在感のなさだけが印象に残った。最初の事件発生から20年。法務省は6月、刑執行の事実を公表し、犯罪史に残るであろう残虐な事件に大きな区切りがついた。
≪配慮のない表現≫
 「被告の首筋の脈が波打っているのが、(裁判官席から)はっきり見えた…。彼も生きたいのだろうと思った。つらい決断だった」
 死刑判決を下した経験を持つ元裁判官から、そんな内面の葛藤(かっとう)を打ち明けられたことがある。数々の証拠や本人の法廷での供述などから、死刑相当以外の何ものでもないことを確信しても苦渋の決断だったという。
 死刑手続きに携わった経験を持つ法務省職員からはこんな話も聞いた。元死刑囚の親族に荷物(遺品)を引き取ってもらえないか電話をかけたところ、「あんな人の荷物なんか引き取りたくもない。私たちもさんざん迷惑したんです。もう連絡しないでほしい」と拒否された。心に砂袋が詰め込まれたような思いがしたという。

当時、法務省は執行された死刑囚の名前を公表していなかった。その理由のひとつとして、この職員は「(死刑執行者の)氏名が公表されることで傷を負う人がいるからです」と語った。執行という重い実務を担う側の苦悩はジャーナリストの大塚公子さんの著書「死刑執行人の苦悩」(角川文庫)に詳述されている。最も苦しみを味わうのは現場に立ち会い、野辺の送りを手配する刑務官かもしれないという指摘もうなずける。
 だからこそ、朝日新聞夕刊のコラム「素粒子」が就任以来13人の死刑執行に署名した鳩山邦夫法相を「死に神」と表現して犯罪被害者団体などから批判を受け、それが「いまだに尾を引いている」(22日付本紙)のは当然の帰結だと思う。死刑執行に至るまでには、被害者の筆舌に尽くしがたい苦しみ、複数の司法関係者の重い決断と職務の遂行がある。山口県光市の母子殺害事件の遺族、本村洋さんは広島高裁が男性被告に死刑判決を下した際、こう述べた。「私たちもこの重い判決を受けて今後の人生をまっとうに生きていかなければならないと思います」
 コラムには、こうした人々への配慮がまるで感じられないのである。
≪終身刑と死刑の違い≫ 「なぜ、終身刑の設置に消極的なんですか」。ある法務省幹部にこう問うたことがある。死刑制度廃止論の根拠のひとつには無期懲役刑との格差があげられている。 幹部はこう言った。「終身刑というのはいわば絶望処遇なんだ。二度と(刑務所を)出られないと思えば心は荒れる。希望があるから更生につながる」
 「では死刑は? 死刑こそ絶望処遇だと思うけれど」
 「そこが不思議なのだが、死と向き合うことで変わる人もいる。もちろん、そうでない死刑囚もいる。でも死刑判決を受け、自分の命を見つめることで初めて自分が奪った命に思いを致すことができた死刑囚もいる」
 先進国中、死刑制度を維持しているのは日本と米国だけだ。2007年の調査で米国内の死刑制度支持派は63%と反対派の29%の倍以上だが、人種間格差や冤罪(えんざい)の多さなど深刻な問題が指摘され、存廃論議は日本以上に盛んだ。
 こうした中、東部のニュージャージー州は昨年12月、連邦最高裁が死刑復活を認めた1976年以降、初めて死刑廃止に踏み切った。終身刑に減刑された8人の死刑囚の中には、性犯罪の前歴者の名前や住所を公表する「メーガン」法の契機となった女児殺害事件の犯人もいる。
 終身刑の加害者と死刑判決を受けた加害者の間には、罪への向き合い方にどんな違いがあるのだろうか。調べてみなければいけないと思っている。
 (ながと まさこ=ニューヨーク支局長)

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