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2008年6月13日 (金)

小説 警視庁・薬物特命捜査官(6)

★コントロールドデリバリー

  数日後、鬼頭は多摩川署を訪れた。玄関を入った1階ホールの左側にカウンターがあり、カウンター内側が警務課の部屋だった。右奥に署長室があった。受け付けにいた女性職員の案内で鬼頭は署長室に向かった。警務課員たちは鬼頭に気付かず黙々と仕事をしていた。署長室入り口手前にあるデスクにいた副署長だけが鬼頭の来署に気付き、立って鬼頭を迎えた。女性職員に代わって副署長が鬼頭を署長室に案内することになった。副署長が署長室に向かって声をあげた。

 「入ります」。入り口に立てられた衝立を回り込んだ途端に、待っていた制服姿の警察官が鬼頭に声をかけてきた。

 「鬼頭さん」。佐山署長と生安課長、杉山の三人が鬼頭を待っていたのだ。声をかけたのは杉山だった。鬼頭と杉山の関係を知らない署長らは呆然とした。鬼頭は署長への挨拶もしないまま杉山と握手しながら久しぶりの再会を喜び合った。

 二人の様子を見ていた佐山署長が恐る恐る鬼頭に声をかけた。「ご苦労様です。さぁ、こちらにどうぞ」。長身で黒縁のメガネの似合うダンディな署長が、ソファーに座るよう案内した。http://video.msn.com/video.aspx?mkt=ja-jp&vid=da0066d5-c799-44e3-a015-68a86f038690

 あれは昭和四十五年の出来事だった。六〇年安保闘争の全盛期。日米安保反対をスローガンに掲げた全学連によるデモは解散地の日比谷公園に到着後に必ず、荒れた。
 杉山は当時、淀橋西署員だったが、緊急時に招集・編成される特別機動隊隊員でもあり、連日部隊にいた。十月二十一日、東京・紀尾井町の清水谷公園を出発したデモは、日比谷の解散地点に到着したのが夕方の五時を過ぎていた。
 部隊規制を解いた直後に学生達は日比谷通りをカルチェラタン化。現場は火焔瓶と沿道の敷石が飛び交い、これに機動隊はガス銃と放水車で応戦した。
 一進一退の攻防は未明まで続いたが、火炎瓶を背中に受けた杉山が火だるまで放水車の前で倒れ込んだ。日比谷花壇の前だった。運が良かったのは。日比谷交差点近くに放水車を待機させていたことだった。
 放水を直接かけると水圧が強く人間ひとりをはじき飛ばしてしまい、逆に怪我をさせる。このため放水車は杉山から数㍍離れた地点に水圧の焦点を決めて放水した。杉山の背中の火は瞬く間に消えた。
 「大丈夫ですか」
 道路で警戒していた一人の制服警官が駆け寄った。
 「私が連れて行きます。パトカーを呼んで下さい」
 この男が鬼頭だった。千代田警察署の地域課にいた鬼頭はデモコースの交通整理などでかり出されていた。
 鬼頭の手で杉山は飯田橋の警察病院に収容された。右背中の三分の一が焼けただれている重傷だった。
 病院を二カ月で退院した杉山は、八丈島中警察署の警務課勤務を希望した。約三年間で背中の皮膚が固まったころ、東京都八丈島出張所の庶務課にいた美土里さんと結婚。自分の希望もあって島の南側で、八丈小島を臨む高台にある八丈島南地区駐在所に配置された。
 鬼頭が杉山と会ったのは、警察病院に収容した時以来だった。
 「そうすると、今回のイラン人の覚せい剤所持事案のお手柄は杉山さんですか」
 「手柄というか偶然でな」
 「格闘なさって捕まえたと聞いていますが、背中の傷は大丈夫でしたか」
 「やっぱりだめでな。一部が破れて血が出たよ」
 「しかし、奴さん達が磁石を使って隠ぺいする手法を良く知っていましたね」
 鬼頭は格闘で捕まえたことよりも、薬物捜査員の間でしか知られていないイラン人独特の〝捜査逃れ緊急手段〟を見抜いた杉山の感を褒めた。
 席は会議室に移された。そこには生安と刑事、地域から集められた捜査員に、本部薬物対策課の捜査員約十五人が待っていた。
 最初に杉山から現場となる倉庫付近の状況が説明された。
 これを受けて鬼頭が捜査方針の意見を述べようとした。
 「今回の事件でイラン人を逮捕していますが、私はイラン人は単なる密売人と見ています。問題は倉庫の件ですが…」
 そこまで言ったとき、薬物対策課の主任が鬼頭の言葉を遮った。
 「実は、横浜税関からの一部情報がありまして、五日前に同住所地宛てのコンテナが一便、中国から横浜港に届いたそうです」
 「タイミングが良すぎはしないか」
 署長がニンマリとして言った。そして鬼頭が続けた。
 「主任、どうだろう。コントロールドデリバリーしかないような気がするが」
 「係長、私もそう思います。署長さんはどうですか」
 「専門家の皆さんがそうおっしゃるのですから、お任せします」
 コントロールドデリバリーは俗に言う「泳がせ捜査」である。覚せい剤の密輸入だけで物のみを押収するのではなく、その場から覚せい剤を持ち出し、どこに持ち込むのか。覚せい剤の最終行き先を割り出し、流れを掴んでから組織もろとも捕まえるというのだ。
 最近の傾向として中国から荷出しされたコンテナを日本国内での最初の受け取り人は、何故か中国人の荷主なのだ。だから、そこで慌てて捕まえても意味がないことから、税関、厚生省麻薬取締官事務所も最近は同様手段を使っている。
 コンテナの荷受け人は、東京都新宿区大久保四丁目××番地、淋公平。管轄する淀橋西署で確認した結果、西新宿で焼き肉店を経営する在日中国人と分かった。
 コンテナが多摩川べりの倉庫に配達されたのは、それから数日後の金曜日だった。同時に同倉庫は監視体勢にはいった。尾行班の割当てまで細かく決められた。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080607/crm0806070956009-n1.htm

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受信: 2008年6月14日 (土) 午前 11時51分

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