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2008年6月 6日 (金)

2008年6月 6日 (金)

小説 警視庁・薬物特命捜査官(5)

青年から届いた手紙

 昨夜の張り込みで、鬼頭が新橋の分室に出勤したのは午前十時を過ぎていた。五日ぶりの出勤で、警視庁本部からの通達や内部連絡文書などが溜まっていた。
 人事異動の内示書類の下に隠れていた一通の封書が鬼頭の目にとまった。表書きにはパソコンで印刷された住所・氏名が書かれていた。宛先が警視庁本部になっていたほか所属名もなかったことから、開封を一瞬、ためらった。恐る恐る裏返した。
 国分寺に住む村橋知宏と岩瀬邦子の両名が書かれていた。邦子は知らないが、村橋知宏については鮮明に記憶している。封書を空けると結婚式への招待ハガキと手書きの手紙が入っていた。
 拝啓 突然の手紙で失礼します。鬼頭刑事さんにあの事件でお世話になってから十五年が過ぎました。現在は国分寺市内にマンションを購入し、真面目に働いております。
 この度、私たちは結婚することに成りました… あの時、鬼頭刑事さんにお会いしなければ私の人生はありませんでした…
 このところの仕事の忙しさで忘れかけていた村橋からの手紙だ。
 それは悲惨な事件だった。
 

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