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2008年5月24日 (土)

★コラム「振り込むな!」

 「78億5615円」 この数字は今年に入って3月までに振り込まれた〝振り込め詐欺〟の全国における被害金額である。この〝振り込め詐欺〟とは平成16年に警察庁により命名されたもので、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、そして還付金詐欺などを総称した言葉だ。

 

 平成16年と言えば、ハガキによる架空請求が大流行した年である。「訴訟通達」「最終警告」などのタイトルで、本文には「連絡がない場合は訴訟手続きに入る」と結ばれている。一見、何の請求か分からないが、連絡用電話にかけて初めて具体的な請求内容と金額が指定される。ハガキには、菊の紋章や暴力団・山口組の菱の代紋に似せたマークが印刷されていることから、受け取った人に恐怖感を与え、つい、電話をかけてしまい、被害が拡大した。警察は共謀罪でハガキの印刷会社までも取り締まる徹底作戦に出たため、現在はほぼ姿を消した。

 代わって登場したのが、携帯電話「ソフトバンク」のメールによる架空請求詐欺事件だ。ソフトバンクのメールは、お金がかからず、文字数が無制限で送信できるため、16年のハガキによる架空請求とそっくりの内容のメールを送り付ける。極めつけは「住民票を取得して住所等を割り出し、自宅や勤務地に直接回収作業に移る」の文言。「自宅に来られては…」の恐怖感からつい電話してしまう。いわば平成16年のハガキによる架空請求の電子版で、架空請求の世界にも時代の趨勢が伺える。

 時代の趨勢と言えば、オレオレ詐欺の進歩だ。

 何故、「オレオレ詐欺」と名付けられたのか。それは、離れて暮らすお爺ちゃんやお婆ちゃんらに電話をかけて、名前を名乗らず「俺だよ俺、お婆ちゃん元気!」と、もちかけて、「ちょっとお金が要るようになってさ…」と同情にすがるのが手口だった。

 それが、痴漢で鉄道警察隊に逮捕されたので和解金を…に変化。最近では、「携帯番号が変わったので知らせる」と前触れしておいて、次に「会社の金を使い込んだ」「友達の保証人になった」「投資で損した」など、騙しの文言が進化している。つまり「劇場形犯罪」と呼ばれる所以だ。この被害金総額は42億8340万円で、実に振り込み詐欺の5割以上を占めている。

 実は、このオレオレ詐欺。これほどまでに全国に拡大する前から存在した。それは、極一部の地域から始まったのだ。東京のベットタウンとして人口が急増した時代の埼玉県だという。

 [1999年05月19日 産経新聞の東京夕刊]の1面連載企画によると、次のように掲載されている。

 「私よ、私…」と女性の声色を使って女性をおびき出し、わいせつ行為を働いたうえ現金をだまし取っていた当時五十三歳の男が平成九年十月四日、埼玉県警に逮捕された。まさか、と思う心のすきを突き、身内や知人を装う犯人の巧みな話術。調べたところ、平成元年から三十件以上の犯行が判明。ところが、事案が事案だけに、被害者の口は重い。県警は被害者の精神的負担軽減を考慮、女性捜査員を中心に捜査を展開した。警察庁は平成八年から「犯罪被害者対策」として全国の県警本部に「性犯罪捜査指導官」と女性捜査員の配置を指示、徹底した。「女性被害者の事情聴取は女性の手で」との考えを組織的に一歩進めるものだ。

 では、何故? オレオレ詐欺が全国に爆発的に拡大したのか?

 被害の拡大を防ぐため、マスコミが注意喚起の原稿を書く。ところが、犯人達はこれを逆利用。ニートなど「暇人」も多いことから、「俺だったら、もっと良い手口を使うな」式に言動が巧妙化していったと見るのが妥当だろう。劇場形犯罪の所以である。

http://www.police-ch.jp/video/2/000396.php

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