小説 警視庁・薬物特命捜査官(1)
不審船
「巡視船かわせから十管区本部、鹿児島(保安部)」
「十管本部ですどうぞ」
「鹿児島ですどうぞ」
「ただいまから、ふたまる(20)ミリ機関砲による威嚇射撃を開始します。どうぞ」
「十管本部了解。まるふた(2)時さぶろく(36)分ひとはち(18)秒」
「鹿児島、全部了解。どうぞ」
東京・霞が関の警察庁最上階の二十階にある不審船警備対策本部に、警視庁警部で薬物特命捜査官の鬼頭長一郎が到着したちょうどその時、海上保安庁巡視船「かわせ」と第十管区海上保安本部、鹿児島海上保安部との無線交信が、緊張感を高めていた。
警備局対策本部の中央大型スクリーンには、海上保安庁から提供を受けたオペレーション風景が映し出されていた。対象映像は水しぶきをあげながら逃げまどう緑色の船影。画面が激しく上下に揺れ動き、緊張感をあおった。


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